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「薄墨」のワケ
2022/11/25(金)
弔問の際に用意するお香典。
最近は、あらかじめ「香典不要」とするご葬儀もありますが、弔問する側からすれば、少しでも気持ちを届けられるものとして、重視したいものです。
さて、お香典には氏名を記載しますが、その文字は薄墨で書くのがマナーです。
筆ペンで、両端で濃墨・薄墨が分けられているタイプもあるので、皆さん、よくご存知のことでしょう。
ところで、なぜ薄墨を用いるのでしょうか?
よく言われるのは、「涙で墨がにじんだ」というものです。
ふつうの墨で書いたのだけれど、その上に涙が落ちて薄まってしまった……、という説ですね。
人情の溢れた、日本人らしい考え方だと思います。
また、「墨を擦る間も惜しく、すぐに駆け付けた」という説もあります。
濃い墨にするには何度も硯を擦るわけですが、その間も惜しいほど急いで文字を書いて、駆けつけてきた――というわけですね。
これも、人の気持ちを感じさせる話です。
似た説で、「悲嘆に暮れて、墨を擦る手に力が入らなかった」という考え方ありますね。
いずれにせよ、薄墨は悲しみを表しています。
人の心情に関わるものだけに、一人だけ濃い墨で書いてしまうと、目立ってしまう恐れがありますね。
ただの「しきたり」といえばそれまでですが、香典はまとめるときにご家族が何度も目にするものですので、意外に気になるマナーです。
今はコンビニですぐに毛筆ペンが手に入りますので、弔問の際は、軽視せずに薄墨を使うようにご配慮ください。